剣道と刀法──真剣と竹刀剣道の融合を目指す
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近藤光(愛興館館長)=著
B5判(カラー) 144ページ
日本刀は、チャンバラ映画に見られるような切り合いに特化した道具ではなかったという。戦国時代における戦いも、槍、薙刀(なぎなた)、長巻(ながまき)といった道具が主で、討ち死にした者はそれら道具に次いで、石で討たれたケースの方が、刀のそれよりも多かったという説もある。「伝家の宝刀」は最期の切り札という意味だが、実際の刀は相手を制する代物というより、自身の「御守り」として携えていたといわれるほど、刀は日本人の精神性に寄り添った神聖な道具であったようだ。
刀を抜かずして事を治めることを本旨としたのがかつての武士。もちろん「切る」技術を修行によって高めてこそ、“活人剣(かつにんけん)”の域に達したのであろうが、対峙した相手を殺(あや)めず活かす境地が武士の中に生まれたことからも、日本刀そのものが「平和思想」に則った、世界的にも稀(まれ)な武器であったことが伝わってくる。
その日本刀を授業の一環として取り入れたのが、多くのオリンピアンを生み出している日本体育大学。日本で初めてとなる「刀法の授業」は、受講生が実際に日本刀で巻藁(まきわら)を切るところまでを目指す本格的な内容となっている。そこにたどりつくまでには、日本刀の歴史、製造方法、刀を扱う作法、刀にまつわる言葉、切るために欠かせない事細かな技術……など、学ぶことは数多い。
講師を務めるのは、自宅に剣道場も構える近藤光氏。刀への造詣も深く、剣道とともに古流や抜刀道にも長く携わってきた。その氏が目指すのは、真剣と竹刀の融合であり、実際に真剣を扱うことで竹刀剣道の技術自体の検証も試みている。日本体育大学といえば、優秀な剣道指導者を数多く輩出。近藤講師のなかにも、将来の教育者に、次代を担う子どもたちに刀法に則った正しい剣道を伝えて欲しいという切なる願いがある。
そうした意味でも、剣道の原点である「刀」のことを余すことなく知ることができる本書は、“真の剣道”を目指す剣道人必見の一冊。刀を製作する刀匠(とうしょう)のインタビューにも日本刀の真理がかいまみえ、QRコードの読み取り方式による動画特典は、5項目合わせて150分にも及ぶ。映像で見る刀の差し方、置き方、扱い方、抜刀(ばっとう)、納刀(のうとう)、振り方、切り方などは、このうえなく分かりやすい。
美術刀剣の書籍とは違った「切る」という刀の特性にもしっかりと踏み込んだ本書は、大学のテキストにとどまらない、真剣の魅力を広く世に伝える稀有な一冊だ。
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